「MSバイブル」第130号「ガンダム・バエル」 レビュー

待たせたな 

 

今回は前々からこちらでも情報を流しておりました、「ガンダム・バエル」が特集された「ガンダム・モビルスーツ・バイブル」第130号のレビュー(というよりかは紹介)を行おうと思います。

流石にMETAL ROBOT魂のレビューほどの超長怪文書にはならないハズなので、気楽に参りましょう。

 

 

毎号1機のMSを紹介する週刊誌「ガンダム・モビルスーツ・バイブル」は、デアゴスティーニ社より刊行されております。

デアゴスティーニ社については最早言うまでもなく、ちょっとずつ雑誌を出版して行って、それを最初から最後まで集めると一つのコレクションが完成する(「分冊百科」と呼ぶらしい)というアコgゲフンゲフン特徴的な販売形態を取っている出版会社ですね。

あんまり売れないと刊を追うごとにクオリティが下がったり、出版を途中で打ち切りして最後まで完成せずに終わったり、そもそも予約が一定数集まらないと創刊号の出版すらしなかったりするという悪癖を見s…決断を下したりして、肝心の定期購読者の顰蹙を買ったりもしているようですが(出版業界はずっと冬だから事業仕分けするのも仕方ないね)、まあそれはともかく。

MSバイブルは流石のガンダムシリーズ、ということで安定して長く続いており、今回のバエルで第130号。現在、第150号までの刊行が予定されている模様です。

1冊703円(税込)、毎週火曜日発売となっています。

「毎号フルカラーで1機のMSを多角的に解説」との売り文句通り、アニメやプラモ用の設定資料なども掲載しながら様々なMSの設定や関連するストーリー、更にはパイロットまでを解説しており、非常に史料的な価値のあるモノと言えましょう。

私は今回の第130号だけ2冊買った(なお少し経って冷静になり「2冊も要らんやろ」と思ったので、1冊は友人に贈与する)んですが、別の友人が熱心に創刊号から集め続けているので、彼には是非ともゴール板まで走り抜けてほしいですね。


と、少し話がズレましたので戻しまして。

「ガンダム・バエル」を特集した第130号は、12月21日(火)に発売。現在、全国の書店にてお買い求め頂けます。

そして、会報でも何度も貼っておりますが、こちらがその目印となる表紙であります。

 す し ざ ん ま い ッ ! ! !

 

そう言えば、今年もすしざんまいの季節(初競りと言え初競りと)が近づいて来ていますね。

今年もクロマグロを数千万〜数億円とサラブレッド級の値段で落札する、アグニカ・カイエルに最も近い男こと木村清社長のすしざんまいが見れることに期待しつつ、まだお手に取られていない方にはこのすしざんまいを最寄りの本屋の雑誌コーナーで目ざとく探して頂きたい。

 

そして、こちらのすしざんまいは元祖すしざんまいこと鉄血2期43話のすしざんまいの原画も描いておられました、大張正己氏によるすしざんまいです。

なお、大張正己氏がMSバイブル関係の仕事をするのは初めてだったようで、本人はTwitterで「バエルとなれば描かざるを得ませんでした」とコメントされています。んんッ、アグニカポイント+10000!

表紙のイラストは折り込みのピンナップで全身絵を確認することが出来ますので、それも素晴らしい。

アグニカみに溢れた表紙、実に美しい……これ以上の芸術作品は存在し得ないでしょう……。

 

 

と、ここからは内容のご紹介なんですが、あんまり内容に触れすぎると色々まずいので、基本はMSバイブル公式Twitterが発売に先立ってツイートしていた内容紹介を踏まえつつ、+αでの補足を言いすぎない程度にやっていきたいと思います。

なお、先ほどご紹介した大張さんのツイートも合わせ、該当ツイートについてはこの会報の最後に纏めてリンクを貼っておきます。

ツリーとなっているツイートは、一番上のツイートのリンクのみ添付致しますが、ご了承下さいませ。

 

冊子を開くと、1ページ目からバエルの機体データと特大ピンナップがドーン! と襲いかかって来ます。

そして、そこからページを進めると、見開きでページをフルに使って、ありとあらゆるバエルについての情報が記されている! たまらねぇぜ!

 

解説のテキストについては最早語るべくもない、会員の皆様にとっては復習とさえ言える内容ですが、非常に詳細かつ正確。それでいて、読みやすい記述が成されております。

バエルについて詳しく知らない方にとっては「ふむふむ」と頷きながら読めるモノに仕上がっておりますので、布教時の使用にも耐え得る。聖典だよこれは(断言)

そしてぇッ、これに添付されている画像資料が実に素晴らしい!

MSバイブル公式がツイートで一部を紹介なされていますが、生の設定資料が拝めるのですッ!

具体的にはこれとかこれとかこれ!

この他にも「バエルの祭壇」や、それを内包するギャラルホルン地球本部「ヴィーンゴールヴ」の資料なども掲載されております!

これまでにもこうした設定資料を掲載した書籍はございましたが、詳しい設定解説テキストと共に見ると、また違った感動があると言うもの……!

バエルは勿論、バエル以外のMSに関する設定資料も多数掲載されております。鉄血ファンには堪らない資料集と言えましょう。絵描きさんやモデラーにもオススメです。





なお、MSバイブル公式の「ツイートでの」解説内容に関しては、ちょっと議論の余地が残されている部分を含むかなーと私としては思いましたので、一応それについては書き記しておきます。

まあ私など、どこのウマの骨とも分からぬ一般Peopleに過ぎませんので、情報の信頼性においてはMSバイブル公式の方が高いということはご承知おきの上で流し読みして頂きますよう、お願い申し上げます。


また、あくまでも「ツイートでの解説内容」に対するモノなので、雑誌自体に掲載されている解説に対してのモノではありません。

というか、MSバイブル公式がツイートで解説していたようなことが、当の雑誌に全然書かれてないのはどういうことなの……?



まず最初にバエルの腕部について。

ツイートでは「ガンダム・フレームに最低限の装甲を施したシンプルなもので、防御力よりも軽快な操作性を優先した」とありますが、バエルの腕部装甲は他のガンダム・フレーム機と比較して細いことはない、むしろ分厚めであるとも考えられます。

元々、メカデザイナーの鷲尾直広氏は素手での格闘戦を行う機体としてバエルをデザインしているので、尚更装甲は厚めにされていると私は感じます。

アグニカ・カイエルが軽快な操作性を求めたのは恐らく間違いないでしょうが、操作性に支障を来さない程度、ギリギリのところまで装甲は盛られているという解釈が出来る可能性が残されているのではないかと。

また、「パワーはかなりのものなので、戦闘ではMSの装甲やフレームを軽々と引きちぎっています」とも述べられていますが、パワー自体はバエルというよりかは、ガンダム・フレーム全てに共通する優位点であることには注意が必要でしょう(Twitterには字数制限があるので、この辺りは仕方ないかもですが)



脚部のことでは「サイドアーマーとふくらはぎ部分に大出力スラスターを内蔵しています。これはバエルの戦闘スタイルである高機動格闘を考慮した仕様で、機動性低下を嫌ったことが見て取れます」とされており、これは全くその通り。素晴らしい(何様や)

一つ補足するなら、これが推進剤を使った熱相転移スラスターなのかエイハブ・スラスターなのか、その点に議論の余地が有るってところでしょうか。


※エイハブ・スラスター:指向性の有るエイハブ・ウェーブの素粒子を排出することで推進力を得る、主にMSの慣性飛行や姿勢制御に用いられるスラスター。メイン推進システムである「熱相転移スラスター」に比べて出力では劣るが、エネルギー効率に優れているのがメリット。



スラスターウィングの説明では「単体での大気圏飛行能力を有するMSはごくわずかであり、本機の大きなアドバンテージ」となっていますが、場合によっては「ガンダム・フレームは全機大気圏内飛行可能」とされていることもあります。

ただ、以前の会報「バエルは飛べるのか」(https://agunikai.jimdofree.com/2020/07/16/%E3%83%90%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%81%AF%E9%A3%9B%E3%81%B9%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B/)でも触れたんですが、恐らく安定して飛行出来るのはバエル特有の強みなのでオッケーかなと思いつつ、一応書いときました。



バエル・ソードについては「なお設定画の注釈には『グリムゲルデ用のソードをバエル用につくりなおしたものです』との一文が添えられています。ただしこれはあくまで準備稿での解説なので、本編にこの設定が活かされているとは限りません。とはいえ形は似てますよね」とMSバイブル公式は言及してますが、これに関しては以前の会報「バエル・ソードに抱きがちな勘違い」(https://agunikai.jimdofree.com/2020/06/20/%E3%83%90%E3%82%A8%E3%83%AB-%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%81%AB%E6%8A%B1%E3%81%8D%E3%81%8C%E3%81%A1%E3%81%AA%E5%8B%98%E9%81%95%E3%81%84/)で取り扱っております。

最終的な本編に反映された設定では「バエル・ソードはアグニカが実際に使用していた物」となっていますし、HGの説明書もそういう前提でテキストが書かれているので、ご注意下さい。



電磁砲(レールガン)については(恐らく)初出の情報、「砲口は金色の装甲で覆われていて、使用時に開放した」とのこと!

これ見た時はマジでビビった。「そうだったの!?」と声が出ましたねぇ!

また一つバエルに詳しくなってしまった―――と思ったんですが、当のMSバイブル本誌にはそんな説明載ってなかったよ……どういうことなの……?

現状、私の確認している範囲では「電磁砲の砲口は発射時のみ装甲がスライドして露わになる」という設定のソースがこのMSバイブル公式のツイートしかないので、判断はちょっと保留した方が良いのかもしれない……?

何か情報がございましたら、何卒ご一報下さい。





――と、ちょっと指摘も入れましたが、話を戻しまして。

この雑誌にはバエル以外の様々なMSについても解説されており、グリムゲルデやシュヴァルべ・グレイズ、グレイズリッターとマクギリスが搭乗した機体や、マクギリスがオリジナルの阿頼耶識を復元するための実験体としたグレイズ・アイン、そもそもの素体となるグレイズについても資料と共に解説がされています。

ギャラルホルンの組織に関しても解説されており、セブンスターズや施設、艦船などの情報も。

特にギャラルホルンの組織体制図が非常に有用で、これまで不明瞭な点が多かった指揮系統についても見て取れるようになっているのがありがたい。


また、パイロットであるマクギリスや関連してクランク二尉! アイン! についても解説があり、ストーリーと絡めての文章もございました。

ギャラルホルンのMSの開発系統図も見れ、ここも面白かったところ。シュヴァルべ・グレイズとグレイズの関係がややこしかったりするからね!

ただオルトリンデやグレイズシュタッヘルは設定画がちゃんと存在してるハズなので、シルエットで使い回すんじゃなくてちゃんと出してほしかったナー。流石に月鋼までは深く踏み込まないのかな?

その他プラモデルの解説なんかもされていて、シレッと「MG、PG化も……!?」とMSバイブル編集部に潜んでいるらしき、まだ見ぬ同胞の願望が書かれていたりして草バエルので、これらも必見です。


なお、マクギリスの友人であり宿敵であるガエリオと、その乗機のガンダム・キマリスについてはそんなに掘り下げが無く、グレイズの発展機であるレギンレイズの解説も無かったので、もしかしたら今後キマリスの特集号を出すつもりなのかもしれない。

ガエリオ派の方々は今後も要チェックDA☆



そして、一つ興味深かったのは、アグニカ・カイエルの思想についてのコラムですね。

私はこれまで、「力こそが真理、この世の全てである」というマクギリスの思想はマクギリス固有のモノだと思っていたんですが、コラムによればどうにもそうではないと。

アグニカの伝記には「『様々な種類の力』があり、それを超越した先に『真理』がある」といった思想が書かれていて、マクギリスはそれに影響された――と、解説がなされているのです。

マクギリスの「力こそ全て、真理」という思想はアグニカの生き様、活躍を描いた伝記からマクギリスが解釈したモノである――私はそのように解釈していたんですが、MSバイブルでの書きぶりからすると、「力の先に真理がある」という思想を持っていたのはアグニカ自身。アグニカの伝記はそうしたアグニカの思想が如実に表れているモノ、ということになります。


言うまでもなく、アグニカの人物像については謎しかないので、解釈のやりようには幅があるんですが、この記述に沿って考えると、アグニカってかなりやべー思想の持ち主じゃない……?

まあ「厄祭戦」の時代、モビルアーマーという理不尽かつ暴力的な存在が跋扈した世界で生まれ育った人物がアグニカ・カイエルなので、そうした思想に行き着いたとしても不思議は無いのかもしれません。

ギャラルホルンの「秩序を乱す者を武力で粛清する暴力装置」という在り方にも、通じるモノがあると感じられますしね。


何はともあれ、ちょっと私の中のアグニカ論を揺らがせてくれた、一石を投じてくれたコラムでした。この辺りのアグニカ論については、また色々解釈を考えていく必要があると感じます。

そういった点でも、今回のMSバイブルは非常に有意義なモノになったと思います。

同志たちには是非このMSバイブルの記述を踏まえた上で、アグニカ・カイエルというまだ見ぬ英雄の姿について、考えを巡らせて頂きたいなと。



レビューに関してはこんなモノでしょうかね。

様々な新規絵を見ることができ、現在明らかとなっている情報についての復習にもなるばかりか、新しい解釈をも得ることが出来る。

アグニ会会員の方もそうでない方も、共に必読の一冊になっていると思います。

繰り返しになりますが、是非ともお手に取って頂いて、様々な資料や解説を舐め回すように見てみて下さいませ。

ピンナップイラスト(描き下ろし)
ピンナップイラスト(描き下ろし)
表紙右上のイラスト(さり気なく新規絵)
表紙右上のイラスト(さり気なく新規絵)



メタロボのレビューほど長くならんだろ、と冒頭で書いておきながら、結局字数はそれなりに要してしまいました。草バエル。ゆるして。


それはそうと、これにて今年中の更新は最後になるかと思います。

今年も本サイト、及びアグニ会をご愛顧・ご支援頂きまして、ありがとうございました。

サイトを開設して一年半、感謝するぜ……これまでの、全てに!


そして、当然ながら来年以降も、アグニ会のアグ活は続いていきます。

来年もアグニ会とアグニカ・カイエル、ガンダム・バエルをよろしくお願い致します。



(記:管理人N)





《関連ツイートのリンクまとめ》

大張正己氏のツイート↓

https://twitter.com/G1_BARI/status/1470789914904395777?t=VxQKHAYRFvqFavDMZF2DCg&s=19



MSバイブル公式のツイート↓

機体概要

https://twitter.com/SNRI8741/status/1471088746267541511?t=d-av6q6U6uX9HbqvX31TUA&s=19


頭部

https://twitter.com/SNRI8741/status/1471093995770380293?t=P2imtIMtZmsYun4qidtV4A&s=19


腕部

https://twitter.com/SNRI8741/status/1471096163525083141?t=agbnirPUfVbtzKir6TPUvg&s=19


脚部

https://twitter.com/SNRI8741/status/1471098429736906762?t=xeZtont_i1z8rfRYvkrNKQ&s=19


背部

https://twitter.com/SNRI8741/status/1471101211135070209?t=aHaYoaio78d2G5JJDNZ3xA&s=19


コックピット

https://twitter.com/SNRI8741/status/1471104879238455298?t=4UwcbUyRf0nkNcnLaQJIbg&s=19


ギャラルホルンについて

https://twitter.com/SNRI8741/status/1471458689462996992?t=t_P_YC4IzPsqZ4CM4rBipQ&s=19


戦闘スタイルについて

https://twitter.com/SNRI8741/status/1471815409678839827?t=zGkGUBmnZ6wxKcGGLGN1rw&s=19


バエル・ソード

https://twitter.com/SNRI8741/status/1471818921531809794?t=8NO2uvfFIa4ejTNa9YMRvQ&s=19


電磁砲(レールガン)

https://twitter.com/SNRI8741/status/1471823153290952707?t=_4excz0DvJmt6OYoywB62w&s=19


関連ガンプラ(グリムゲルデ)

https://twitter.com/SNRI8741/status/1472888571589963780?t=-XCs3eExysKCUTq3BEUTFA&s=19


関連ガンプラ(ヘルムヴィーゲ・リンカー)

https://twitter.com/SNRI8741/status/1472890552308109319?t=Lb2f8zmq_HzFE044fS551A&s=19


ガンプラ(HG、1/100)

https://twitter.com/SNRI8741/status/1472892241291411457?t=okxzMV05D6K06bKEDsHAlw&s=19


関連ガンプラ(グレイズ系)

https://twitter.com/SNRI8741/status/1472896675673174020?t=hhg5IqNMLJLRpWMwTqqv9g&s=19