バエル・ソードに抱きがちな勘違い

「ガンダム・バエル」や「アグニカ・カイエル」について、何の脈絡も無く唐突に語り出す謎サイトとして、本サイトは存在致しております。

その本分を全うするべく、今回は「バエル・ソードに抱きがちな勘違い」と題しまして、バエルの象徴的武器(シンボリック・ウェポン)とも言える「バエル・ソード」について語りたく思います。


まず、バエル・ソードについては皆様ご存知のことと思います。

ご存知無い? トップページのバエル紹介欄に特筆してあるから、速やかに読んで来てどうぞ。

簡単に申し上げれば「折れない黄金の剣」です。これだけ書くとまさしく聖剣エクスカリバー。英雄が振るうに相応しい、伝説級武器(レジェンダリーウェポン)と言えるでしょう。


「ん?」と思ったそこのあなた。

あなたはきっと、鉄血のオルフェンズ視聴済の人。全50話を視聴済の方なら、誰しも思うのはこのことでありましょう。

「バエル・ソード、折れとるやん」


ハイ。何故か知らねぇけど折れました。

一本目は「ガンダム・キマリスヴィダール」の200ミリ砲、二本目は同じくキマリスヴィダールの太刀と打ち合った結果、半ばからへし折れております。

本放送時、私はこう思いましたとも。


「は?」


んな訳有るかと。ダインスレイヴで折られるとかならまだ分かる(キマリスヴィダールも持ってるし)んですが、たかだか豆鉄砲如きに折られるとはどういう了見だ、と私は見事にブチ切れた訳です。

その後で太刀と打ち合って折れるんですが、これも私としては納得がいっていない。

キマリスヴィダールの太刀がフレームなどに使われる「高硬度レアアロイ」で錬成されているのに対して、バエル・ソードはそれよりも硬く強い「特殊超硬合金」が用いられております。

フレームごとMSを斬り裂く最強武器です。レアアロイの太刀と打ち合ったら、太刀を粉砕してバエル・ソードは無傷であるべきではないかと。


これに対しては様々な考察が行われていますが、それは今回の本題ではないので、今回はひとまず片隅に置いておきましょう。

また次回以降の会報の材料にするとして、今回私がお伝えしたいことは、そんな物議も醸すバエル・ソードの「出自」についてのことでございます。

この点はかなり複雑で、アグニ会会員であっても勘違いなされている方がいらっしゃるようなので、今回明確に説明し、正しい設定を示しておきたいと思います。


どんな勘違いかと言うと、「バエル・ソードはヴァルキュリア・ブレードを打ち直した物である」という認識です。


「それが間違いなわきゃねぇだろォォォ!!!」と月の御大将閣下よろしく叫んだギンガナム艦隊の皆様、しかし待ってほしい。

事実関係を精査した結果、これは間違いだと言わざるを得ないのです。詳しく説明するから、まず一つ聞いて頂きたい。

V08-1228 グリムゲルデ
V08-1228 グリムゲルデ

初めに「ヴァルキュリア・ブレード」とは何か、説明する所から始めます。

ヴァルキュリア・ブレードは、ヴァルキュリア・フレームの機体である「V08-1228 グリムゲルデ」が装備する、二振りの黄金の剣です。

バエル・ソードと同じく「特殊超硬合金」で錬成されており、形状も酷似しています。

グリムゲルデは八番機と、総生産数が十機に満たない(具体的な数は明言されていませんが、元ネタを考えれば総生産数は九機と推測される)ヴァルキュリア・フレームの中では後発であり、この武装がバエル・ソードを意識して造られた可能性は有ると私は考察していたりしますが…まあそれも置いといて。


「本編中に登場するバエル・ソードは、このヴァルキュリア・ブレードを打ち直した物で、本当にアグニカが使用していた物ではない」――と思われている方が、相当数いるように感じます。

ただ、この認識に関しては「誤りだ」と断言させて頂きます。


何故、こんな誤った認識が広まったのか。

それは、設定資料集に書かれたメカデザイナー・鷲尾直広氏のコメントをご存知であるからでしょう。

鉄血のメインメカデザイナーとして、バエルのデザインを担当した鷲尾氏は、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ メカニカルワークス」のP14にて、このようにコメントしています。


「厄祭戦でアグニカ・カイエルが乗っていたバエルは、格闘戦中心で戦っていたと聞いたんですよ。でもマクギリスが乗るのであれば、グリムゲルデの剣を仕立て直して装備しています」(一部)


これをご存知の方は、相当な鉄血ファンでしょう。

このコメントの右側に掲載されているバエルのデザイン案でも、鷲尾氏は「グリムゲルデ用のソードをバエル用に作り直したものです」と注釈を入れている為、「あっ、そうなんだ」と思われるのも無理はございません。

しかし、このコメントをそのまま受け止めるとすると、HGバエルの説明書に有る記述と矛盾します。


「人間離れした超反応、超機動を実現したアグニカにとって、折れない剣に勝る武装は存在し得なかった」(一部)


え? アグニカが乗っていた時、バエルは剣を持っていなかったんじゃねぇの? 何でアグニカが剣を使ってた前提で書いてんだ?

こう思う方もいるでしょう。この二つの記述は完全に矛盾していて、これが混乱を招いています。

バエル・ソードに関する設定は、本編にバエルが登場するまでに複数回変更されており、最終的にどうなったか取り違えられている方もおられますので、これを時系列順に説明致します。

時系列で並べると、このようになります。


鷲尾氏が「バエル・ソードはヴァルキュリア・ブレードを仕立て直したもの」というコンセプトでデザインを起こす

設定が変更され、「アグニカはバエル・ソード以外の武装を必要としなかった」とされる(バエル・ソードはヴァルキュリア・ブレードを仕立て直した物ではない)

本編に登場、プラモの説明書などにもアグニカが使ったと記載される


つまり、バエル・ソードはヴァルキュリア・ブレードを仕立て直した、と言う設定は、公式設定ではありません。

登場する以前に消えた設定であり、本編には一切関係の無い「ボツ設定」なのです。

正しい設定では「バエル・ソードはアグニカが使っていた物」となります。


この点はよく勘違いされていると感じる為、今回こうして述べさせて頂こうと思いました。

今回は以上です。

次回以降も、このような感じで(?)語って行きたいと思いますので、よろしければご覧下さいませ。


(記:管理人N)

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コメント: 1
  • #1

    バエル信仰者B (木曜日, 03 8月 2023 22:54)

    僕もあそこでバエルソードが折れたことににすごく驚きました。はぁ?!って思いましたねぇ笑